低山の登山でもあり得るリスク

低山であっても、登山にはさまざまなリスクが伴います。それぞれのリスクについて具体的な内容と対策を説明します。
1.道迷い
リスク
低山は登山道が分かりにくく、整備が不十分なことも多いため、道迷いが発生しやすいです。特に里山では分岐が多く、間違えやすいポイントがあります。また、踏み跡がしっかりついていないルートも多く、迷い込みやすくなります。
対策
- 地図とGPSの活用:ガイドブックの地図や登山アプリ(YAMAP、ヤマレコなど)を確認し、現在地を把握できるようにしておく。
- 事前のルート確認:登山前にルートの特徴や危険箇所を調べ、分岐点などの要注意ポイントを把握する。
- マーキングを確認:登山道に設置された標識やリボンを見失わないように注意する。
- 迷ったら戻る:分岐で迷ったら無理に進まず、直前の明確なポイントまで戻る。
2.転倒
リスク
低山でも登山道は岩や木の根が張り出していたり、雨の後には滑りやすくなったりします。特に落ち葉が多い時期は地面が隠れて足元の状況が分かりにくくなります。
対策
- 適切な靴を履く:滑りにくい登山靴やトレッキングシューズを使用し、靴底のグリップを確認する。
- ストックを活用:登山用ストックを使うことでバランスを保ちやすくなり、転倒を防げる。
- 無理な歩き方をしない:急な下り坂では小刻みに歩き、斜めに足を置かないようにする。
- 疲労時の休憩:足が疲れているとつまずきやすくなるため、こまめに休憩を取る。
3.熱中症・低体温症
熱中症
リスク
低山は標高が低いため気温が上がりやすく、風通しが悪い場所も多いです。また、森林の中は湿度が高くなりやすく、発汗による脱水が進みやすいです。
対策
- 十分な水分補給:こまめに水やスポーツドリンクを飲み、汗で失われる塩分も補給する。
- 帽子と通気性の良い服装:直射日光を避け、速乾性のウェアを着用する。
- 早朝登山を心がける:夏場は日差しが強くなる前の早朝に登る。
低体温症
リスク
低山でも気温が急に下がることがあり、特に雨に濡れると体温が奪われやすいです。また、汗冷えによって体温が低下することもあります。
対策
- 防寒対策をする:レインウェアやウィンドブレーカーを持参し、風や雨を防ぐ。
- 重ね着をする:体温調節しやすいように、ベースレイヤー(速乾性シャツ)、ミドルレイヤー(フリースなど)、アウター(防水・防風ジャケット)を組み合わせる。
- 濡れたらすぐ着替える:汗や雨で濡れた服を放置せず、乾いた服に着替える。
4.危険生物(スズメバチ・ヘビ・ヒル)
スズメバチ
リスク
低山の登山道沿いや木の枝に巣を作ることがあり、巣に近づくと襲われることがあります。特に秋(9~11月)は攻撃性が高まります。
対策
- 黒い服を避ける:黒や濃い色はスズメバチを刺激するため、白や明るい色の服を着る。
- 香水や整髪料を控える:匂いに反応しやすいため、香りの強いものは使わない。
- スズメバチを見かけたらゆっくり動く:急な動きは刺激になるため、静かにその場を離れる。
- 万が一刺されたら:すぐに傷口を流水で洗い、ポイズンリムーバーがあれば毒を絞り出し、速やかに医療機関を受診する。
ヘビ
リスク
ヤマカガシやマムシなどの毒ヘビが生息しており、踏んでしまうと咬まれることがあります。
対策
- 長ズボンと登山靴を履く:足元を保護することで咬まれるリスクを減らす。
- 草むらに不用意に入らない:ヘビは茂みや岩の隙間に隠れていることが多い。
- 見かけたら距離を取る:ヘビは基本的に攻撃してこないため、刺激せずにゆっくり離れる。
- 咬まれたら:安静にし、ポイズンリムーバーがあれば毒を絞り出し、速やかに医療機関へ行く。
ヒル
リスク
湿った登山道や沢沿いに生息し、靴や服に吸い付いて血を吸います。
対策
- ヒル除けスプレーを使用する(塩水や市販のヒル除けスプレーが有効)。
- 長ズボン・スパッツを着用する:皮膚が露出しないようにし、靴下の上からズボンを被せる。
- 服の中に侵入しないようにする:袖口や裾をしっかり閉じる。
- 吸い付かれたら塩や熱で取る:無理に引き剥がさず、塩やライターの熱で自然に離れるようにする。
まとめ
低山だからといって油断は禁物です。道迷い、転倒、気象リスク、危険生物など、さまざまな危険が潜んでいます。しっかりと準備をし、適切な装備と対策を講じることで、安全な登山を楽しむことができます。